KOBE C 情報 先月号

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KOBE C 情報 今月の特集(目の不自由な方むけ)

スペイン
絵画の黄金時代に出合う

歴代のスペイン国王のコレクションを核としたプラド美術館(スペイン、マドリード)の至宝が兵庫県立美術館で公開される。展示されるのはコレクションの核となる17世紀の絵画で、バロック美術を代表するディエゴ・ベラスケスを軸に、ルーベンスやヤン・ブリューゲル(父)ら同時代のイタリア、フランドルの画家を含めた全70作品。かつてない繁栄を背景に17世紀のスペイン王室が築いた絵画の「黄金時代」を、ぜひ間近で感じてみよう。

学芸員 飯尾由貴子さんの解説で知る
ベラスケスの絵画の世界へ
その技法と見どころ

ベラスケスの絵画は今回、日本で過去最高の7作品が公開され、そのうち5作品は日本初公開。人の背丈ほどある大型絵画も多く、細部まで画家の筆づかいをじっくりと鑑賞できる。巧みな空間表現や優れた洞察力によるリアリズム、印象派の先駆けともいえるタッチなど、西洋美術史上傑出した才能を感じ取ろう。

 

ベラスケス(1599-1660)と彼が生きた時代
●ベラスケスは、スペイン国王フェリペ4世の宮廷画家として生涯を宮廷で過ごした。
●17世紀のスペインは、植民地から流入した莫大な富によりかつてない繁栄を築いた16世紀に続く時代。美術を愛好した歴代国王によって優れた絵画コレクションが形作られた。
●カトリック教会の影響力が強かったスペイン。教会と王権による保護のもと、数多くの傑作が生み出され絵画の黄金時代を迎えた。

 

展覧会は7つの章に分けられ、そのうちの6つの章にベラスケスの作品を展示する。
同じ主題をほかの画家がどのように表現したのかと比べることで、ベラスケス独自の視点や技法を確かめてみよう。

 

ディエゴ・ベラスケス《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》

印象派につながるタッチ
近くで見ると、きっちりとした輪郭線で描かれているのではなく、形を成さない点描風のタッチで構成されていることが分かります。一定の距離を置くと、洋服や馬の毛の質感やきらめき、立体感が出現します。ものの見え方に対するベラスケスの探究の成果といえます。

臨場感を与える空間表現
この作品は宮殿の部屋の扉の上に掛けられていました。絵を下から見上げたときに、馬が画面から飛び出してくるような躍動感と臨場感を表現したのでしょうか。作品の置かれる場所を意識した、考えられた構図です。

遠近法で奥行きを表現
風景画はスペインではあまり描かれませんでしたが、ベラスケスはいくつもの肖像画の背景に見事な風景を描き込んでいます。地面から丘、山脈へと向かうにつれ色が淡くなる空気遠近法という技法を用い、作品に奥行きを生み出しています。

 

ディエゴ・ベラスケス《フアン・マルティネス・モンタニェースの肖像》

視線が交錯する巧みな空間表現
描かれているのはフェリペ4世の像を彫る彫刻家。彼が見つめている対象がフェリペ4世と考えると、絵を鑑賞する私たちは国王の視点に立っていることになります。このような現実空間と地続きのように構成された巧みな空間表現も、ベラスケスの特徴です。

 

ディエゴ・ベラスケス《マルス》

鋭い観察によるリアリズム
国王にも国王に仕える道化にも等しく率直な眼差しを注ぎ、対象を尊厳ある存在として描き出したベラスケス。この作品も、一見普通の一軍人のように見えますが、ローマ神話の戦の神・マルスです。神話の英雄も理想化せず、現実の人間のような姿として描いています。

 

プラド美術館展‐ベラスケスと絵画の栄光‐

開催期間:6月13日(水曜日)~10月14日(日曜日) 
休館日:月曜(祝休日の場合は翌日)
場所:兵庫県立美術館(中央区脇浜海岸通1-1-1)
料金:一般1,600円、大学生1,200円、70歳以上800円、高校生以下無料
問い合わせ:兵庫県立美術館 電話:078-262-0901

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