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日本名を名乗り、ベトナム人であることを隠していたことがある。中学生のころだ。自分自身は日本で生まれ、日本語の中で育った。だからこそ、ベトナムからの難民として日本に渡ってきた両親と周囲との違和感を敏感に感じ取っていた。16歳のころから仲間とストリートで歌うようになる。あるとき音楽仲間にも隠していた自らのルーツを歌で伝えようと思った。17歳、「オレの歌」。
小さな船に47人 周りを見渡せば水平線にノーパスポート 合図を確認慌てず舟出す 国と国の領海 見つかれば即 即死 生と死のはざ間 パパとママは逃げ出した
ベトナムを隠し ある日気付かされた俺はナムなんだと前進 その日から日本に住むベトナム人ラッパー(抜粋)
自分のルーツと真剣に向き合い、人に伝える言葉にする、その作業にはとても勇気が必要だったと、ナムさんは話す。それでも苦しんでつくった歌は、自分にもしっくりなじむ歌になった。まっすぐな思いは、教育現場でも注目を集める。日本で生まれ、日本に住む、日本人にとって、民族的なアイデンティティは通常ほとんど意識されない。しかし、人種や言語、文化の違う人が日本で暮らすとき、自らのルーツやアイデンティティを考えずにいるのは難しいのではないか。まして、子どもたちにとって、周囲と違うということが不安や悩みの種となることは想像に難くない。小学校や中学校に呼ばれると、ナムさんは同じような境遇の子どもたちに、この歌をつくった思いを話す。
本人曰く「普段はしょうもないことばかり書いたり考えたりしてる」。ベトナム難民二世であることを考えることは今も「勇気がいる」のだと。だからこそ「オレの歌」は貴重な歌だと思う。今後、もっとナムさんらしい歌が多くの人に届くことを期待したい。

ジェイ・ナム エムシー
1987年長田生まれ。長田在住。本名Vu Ha Viet Nhat Hoai Nam(ブ ハ ビェト ニャト ホアイ・ナム)。難民二世。16歳から音楽活動をはじめる。17歳のときに作った「オレの歌」で自分がベトナム人であることを告白し、そのルーツを歌う。この夏は須磨海水浴場の海の家でアルバイト中。







