KOBE C 情報 先月号

KOBE C 情報 先月号

KOBE C 情報 今月の特集(目の不自由な方むけ)

アニメーションの演出の世界を覗こう・世界的なデザイン教育にトライ・キュレーター横尾忠則に注目!

美術館の挑戦

 

芸術の秋は、ユニークで個性的な展覧会がいくつも開催される。アニメーション監督の仕事をどう見せる?展覧会で体験入学とは?アーティストがキュレーターになると?美術館の挑戦ともいえる意欲的な内容をぜひその目で確かめて。

兵庫県立美術館
美術館で見せるアニメーション監督の仕事

日本のみならず世界からも絶大な人気を誇る『機動戦士ガンダム』を手掛けたアニメーション監督・富野由悠季の軌跡をたどる世界初の展覧会が兵庫県立美術館で始まる。作品の完成に至るまでの“アニメーション監督の仕事”に美術館としてどのようにアプローチしたのか?企画した全国6つの美術館の一つ、兵庫県立美術館学芸員の小林公さんにその舞台裏を聞いた。

 

富野由悠季
1941年神奈川県生まれ。『機動戦士ガンダム』(1979年)『ガンダム Gのレコンギスタ』(2014年)等の『ガンダム』シリーズや、『伝説巨神イデオン』(1980年)等数多くのオリジナルアニメーションの総監督を務めた、日本を代表するアニメーション監督の一人。「虫プロダクション」に入社後、『鉄腕アトム』演出でキャリアをスタート。小説、主題歌の作詞等、マルチな才能を発揮する。

学芸員 小林公さん
6館の担当学芸員が総力を挙げ、戦後の日本文化を代表するアニメーション監督の一人、富野監督の仕事を多角的に分析しました。作品の世界観を作り上げるための膨大な下準備、子ども向けのアニメ作品の中に盛り込まれた大人をも虜にする人間ドラマ等から、『ガンダム』シリーズを見たことがない人にも富野監督の作品の魅力を感じてもらえるのではないかと思っています。

ここに注目!

「演出」をどう展示するか?
アニメーション監督の仕事は簡潔にまとめると“アニメーションの演出”、つまり作品の世界観を作り上げることです。監督は自分のイメージを登場人物やロボットのデザイン、脚本、作画、声優らの力を借りて具体化していきます。完成した作品以外に“これが監督の仕事”という明確な物があるわけではありません。富野監督自身が「感覚的で観念的」と語るアニメーションの演出という仕事を、どのように美術館で展示するのかはとてつもない難題でした。

6館の学芸員の総力
展覧会は全国6美術館の学芸員で企画しました。“アニメーションの演出を展示する”という難題を解決するため行ったのが、監督の作品を1人ずつ割り振り、各自が担当する作品の絵コンテやセル画、原画、設定資料、企画書、準備稿等の膨大な資料を読み込むことでした。この結果、「キャラクターデザイン」「ロボットデザイン」「人物描写」「作品ジャンル」等、学芸員ごとの様々な切り口で富野監督の仕事に迫ることができ、それらを6部に分けて紹介することにしました。

監督の手描き資料
富野監督の貴重な手描きのポスターラフや絵コンテ等も展示される。具体的な描き込みが多く、「自身のイメージする作品観を正確に伝えたい」という思いが反映されているのではと小林さん。

最新作の展示も
作品ごとの世界観を表現するため、様々なイラストレーターやメカニックデザイナーと制作を行っている様子も分かる。最新作『ガンダム Gのレコンギスタ』に関する資料も展示。

宇宙へのあこがれ
少年時代から宇宙への強い関心を抱いていた富野監督。想像力の原点ともいえる、幼少期に描かれた宇宙に関する様々な絵も展示される。

富野由悠季の世界

日時: 10月12日(土曜日)~12月22日(日曜日)
場所:兵庫県立美術館(中央区脇浜海岸通1-1-1)
料金:一般1,400円、大学生1,000円、高校生以下無料
お問い合わせ:同館 電話:078-262-0901

 

西宮市大谷記念美術館
歴史に名を残す造形芸術学校に体験入学

西宮市大谷記念美術館で開催する「きたれ、バウハウス 造形教育の基礎 開校100年」は、1919年にドイツ・ヴァイマールに設立された造形芸術学校「バウハウス」の基礎教育にスポットを当てた展覧会。アートやデザインに影響を与え続ける革新的なその造形教育の中身を、授業内容の展示や実際の課題を体験しながら知ることができる。入学したつもりでわくわくする時間を過ごそう。

バウハウスとは
建築家のヴァルター・グロピウスが設立し、1933年、ナチスの弾圧を受け閉鎖した。「諸芸術を建築のもとに統合する」という目標を掲げ、純粋な芸術と工業の要となる技術の融合を目指した。旧来の芸術教育と異なるこの考えは、近代デザイン史に大きな影響を与えた。日本でも動向は注目され、今展で日本人留学生4人の作品等も紹介される。

学芸員 下村朝香さん
実際に課題を体験してもらうと、私たちが常識として考えていたことと違う結果になることがあると思います。この展覧会を、既成概念にとらわれず考えの幅を広げるきっかけにしてもらえたらうれしいです。

ここが楽しい!
体験できる課題の数々

1.展覧会チケットで頭の体操
加工法を「切る、折る、曲げる」に限定し、紙という材料の新たな可能性を考えた実際の課題を展覧会チケットに再現。実際に生徒が考えた表紙写真の作例のように組み立てられるか挑戦しよう。

2.影の色は何色?
黒色だけだと思われがちな影の色。実際に手に当たる光の色と影の色を見ながらその関係を考えよう。

3.様々な触覚を体験しよう
柔、堅、粗、乾、湿といった様々な触覚を持つ素材を集めた触覚板を展示。授業では個人の感じ方の違いについても学んだ。触って確かめたり、友達と感想を話し合ったりしてみよう。

きたれ、バウハウス
造形教育の基礎 開校100年

日時:10月12日(土)~12月1日(日)
場所:西宮市大谷記念美術館(西宮市中浜町4-38)
料金:一般1,000円、大学・高校生600円、中学・小学生400円
お問い合わせ:同館 電話:0798-33-0164
【主な関連イベント】
■講演会
「近代デザインはバウハウスから始まった」
日時:11月4日(月曜日・休日) 14時
申込:10月3日(木曜日) 9時から電話受付 ※先着
料金:無料
■ワークショップ
「色で遊ぼう!~回転混色~」

日時:11月24日(日曜日) (1)10時30分 (2)14時
料金:200円
申込:往復はがきまたはメールで10月15日(火曜日)必着 ※抽選
※要入館料

 

横尾忠則現代美術館
現役アーティストがキュレーター

現役のアーティスト自ら展覧会の企画を決め、出品作品を選ぶ珍しい試みが横尾忠則現代美術館で開かれる「横尾忠則 自我自損」展だ。大胆なスタイルの変化等、野心的な挑戦を重ねてきた横尾忠則ならではの展覧会とは?同館学芸課長の山本淳夫さんに初の試みとなる今展の注目ポイントを聞いた。

ここがポイント
横尾忠則のキュレーション

学芸員 山本淳夫さん

1.横尾忠則らしいセレクション
この企画は、横尾さん自身が何年も前から望んでいたものです。周囲の予想に反し、本人が選んだ作品は「存在を忘れていたもの」や「描きかけのままになっていたもの」等、横尾さんがおもしろいと感じた作品たち。予定調和を好まず、結末が分からないものをおもしろいと感じる横尾さんらしい内容だと思います。

2.自身の再発見
過去の未発表作品に、今回新たに加筆した3作品は注目です。加えられた言葉や絵によって表現される世界を楽しんでください。また、今年に入って制作され、これまでと異なる作風が大きな反響を呼んだ最新作も展示します。横尾さん自身が自分を再発見した作品がそろっています。

3.とにかく楽しんで
今年83歳になる横尾さんは、今も波瀾万丈の冒険物語の主人公のように自由奔放です。色のパワーはもちろん作品のおもしろさ等、存分に楽しんでほしいです。

同館で初展示のインスタレーション
1万枚以上の膨大な滝のポストカードを使ったインスタレーションを同館で初展示する。鏡張りの床の上に立つと、滝つぼに浮かんでいるかのような迫力に圧倒される。

貴重な未公開作品も
未公開の貴重な過去の作品も展示。描きかけの美女は金星人の肖像とも。

横尾忠則 自我自損展

日時:~12月22日(日曜日)
場所:横尾忠則現代美術館(灘区原田通3-8-30)
料金:一般700円、大学生550円、70歳以上350円、高校生以下無料
お問い合わせ:同館 電話:078-855-5607

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