神戸市混声合唱団 秋の定期演奏会 二人の指揮者による~20世紀の合唱 西と東~ |
~変化著しいバルト三国の合唱~
日本にバルト三国の合唱が伝わり、交流が始まったのは1970年後半のことであった。ドイツロマン派の影響を思わせる美しい合唱曲、そして民族音楽を編曲した固有の音楽、どれも新鮮で彼等のレヴェル高い演奏は実に力ある印象を受けた。その後、これらの国々の情勢は著しく変化し、それは音楽にも表れてきた。神戸市と姉妹都市のラトヴィアのリーガ市の合唱団Ave Solは1900年代後半においてこの国の合唱を世界に示してきた。そのAve Solは来日公演を重ね、少しずつこの国の音楽の進展を見せ、多様な技法と共に音楽素材をも新しく、現代合唱のあり方を描いている。今回、Ave Solの指揮者
A.Veismanisの客演は、そんなバルト諸国の進展を伝える意義ある機会となるであろう。Veismanisはラトヴィア国立オペラの指揮者であり、音楽アカデミーでは合唱指揮の教授を務めている。
合唱指揮者 松原 千振
◆松原 千振◆
~Chifuru Matsubara~
1951年長野県生まれ。国立音楽大学卒。渡欧。シベリウスアカデミーに学び、マスタークラスを修了。エーリ ク・エーリクソン、ダン・ウーロフ・ステーンルンドに師事。1978年からフィンランドを中心に北欧及びバル ト諸国で活動。ヘルシンキ大学男声合唱団の第二指揮者として、多くの初演を手がけ、1985年からフィンラン ド放送室内合唱団の指揮者としてルネサンス時代の作品の指揮にあたる。また1987年春に、フィンランドで発 見された膨大な曲数にのぼる中世の単旋聖歌について、その解読を含む復元作業をフィンランド放送協会から 委嘱され、その整備のかたわら蘇演にも当たっている。なお、このために同放送協会は12人の古楽合唱団 (セートゥス・ノステル)を編成し提供している。1988年から、欧米のプロ合唱団の客演指揮者を常時、務めている。1995年東京混声合唱団第150回定期演奏会に初登場。1997年東京混声合唱団常任指揮者に就任。2013年から同合唱団正指揮者に就任。
◆神戸市混声合唱団◆
~Kobe City Philharmonic Chorus~
1989年に神戸市により設立された日本を代表するプロフェッショナルの合唱団。神戸を拠点に童謡・唱歌、日本歌曲、外国歌曲、オペラ、シャンソンまで豊富なレパートリーをもち、市民に身近な合唱団として親しまれ「音楽のまち神戸」推進に大きな役割を果たしている。2005年には、ウラディーミル・アシュケナージ指揮、NHK交響楽団と「レクイエム」(阪神・淡路大震災10年)を共演。2010年、合唱の国ラトヴィア(リガ市)で世界的に有名な室内合唱団「アヴェ・ソル」とジョイントコンサートを行い、姉妹合唱団協定を締結。2013年7月、リガ市からの招聘により、ユネスコ無形文化遺産であるラトヴィア「歌と踊りの祭典」に出演。また、2011年に初のCD、特別演奏会 「宇野功芳 叙情の世界」を、2012年には第2弾CD「宇野功芳 叙情の世界2」をリリースし、レコード芸術特選盤などに選出される。澄みきった密度の高い合唱は、美しい神戸ハーモニーとして高い評価を得ている。