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神戸市室内管弦楽団 定期演奏会(第143回定期公演) 新しい音楽への希求、3つの世紀それぞれの場合

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~帝政ロシア初の国際芸術家と次代のふたつの巨星~

 201841日に楽団名を「神戸市室内管弦楽団」と変更する神戸市室内合奏団。2018年度シーズンの幕開けを飾る定期演奏会は、数ある弦楽セレナードの中で最も有名な、ロシアの作曲家チャイコフスキーの名曲、「弦楽セレナード」を中心に、弦楽合奏の魅力を存分にお楽しみいただくプログラムです。さらに今回の定期演奏会のソリストは、世界中の有名オーケストラとの共演や、音楽祭に招聘されているピアニストの「ゴットリープ・ヴァリッシュ」氏と、トランペット「イエルーン・ベルワルツ」氏の2名を豪華にお迎えします。

 チャイコフスキーの弦楽セレナードと言えば、テレビCMなどのバックミュージックで良く使用される曲です。お聴き頂くと気づいていただけるのではないでしょうか?その他の曲も弦楽器の魅力と、神戸市室内管弦楽団の豊かな響きを存分にお楽しみいただけることと思います。多くの方々のご来場を心よりお待ち申し上げます。

 

日時

69日(土) 14:00開演/13:30開場
 

会場

神戸文化ホール 中ホール
 

出演

神戸市室内管弦楽団

Kobe City Chamber Orchestra


ピアノ独奏
ゴットリープ・ヴァリッシュ / Gottlieb Wallisch

トランペット独奏
イエルーン・ベルワルツ / Jeroen Berwaerts 
 

プログラム

I.ストラヴィンスキー / I.Stravinsky 

 弦楽の為の協奏曲 ニ長調

  Concerto in D Major


D.ショスタコーヴィッチ / D.Shostakovich

 ピアノ協奏曲 第1番 ハ短調 作品35

  Piano Concerto No. 1 in C Minor, op.35

   ピアノ独奏:ゴットリープ・ヴァリッシュ

   (トランペット:イエルーン・ベルワルツ)


G.トレッリ / G.Torelli

 トランペット協奏曲 ニ長調 G.28

  Trumpet Concerto in D Major, G28

   トランペット独奏:イエルーン・ベルワルツ


P.チャイコフスキー/ P.Tchaikovsky

 弦楽セレナード ハ長調 作品48

  Serenade in C Major, op.48

 

プロフィール


©Stephan Polzer

ピアノ独奏
ゴットリープ・ヴァリッシュGottlieb Wallisch~ 

 1978年、ウィーンの音楽一家に生まれる。わずか6歳よりウィーン国立音楽大学に学び、ハインツ・メジモレックに師事、優秀な成績で同大学を卒業する。ベルリンにてパスカル・ドゥヴァイヨンに、パリにてジャック・ルヴィエに師事。ストラヴィンスキー・アウォード(USA)にて第1位とイーヴォ・ポゴレリッチ大賞、1999年のエリザベート王妃国際コンクール(ブリュッセ ル)、2005年クララ・ハスキル・ピアノ・コンクール(ヴェヴェイ)にてファイナリストなど、多くの受賞を重ねる。

 ウィーン・フィル、ウィーン放送響、グスタフ・マーラー・ユーゲント管などと共演、ジュゼッペ・シノーポリ、デニス・ラッセル・デイヴィスなど数多くの指揮者と共演。スペイン、ドイツ、スイスなどのヨーロッパ諸国をはじめ、世界各国で多くのコンサートツアーを行っている。

 ルツェルン音楽祭、ルール・ピアノ・フェスティバルなど多くの著名音楽祭に出演。2002年夏、ザルツブルク音楽祭にも出演し絶賛を浴びる。また北京と広州にてカメラータ・ザルツブルクとのツアーも行う。

 2006年のモーツァルト記念年、2009年のハイドン記念年には、ウィーン楽友協会にてシリーズコンサートを開催。デビューCDMozart in Vienna」に続き、20126月「Mozart in Vienna II」をリリース。また、アルメニアのエレバンで毎年行われるオーストリア—アルメニア音楽祭の創立者であり共同監督も務める。2010年よりジュネーヴ高等音楽院の教授。スタインウェイ・アーティスト(Exclusive Rank)。



 
トランペット独奏
イエルーン・ベルワルツ ~Jeroen Berwaerts~ 

 1975年生まれ、ベルギー出身。突出した技術的能力と繊細な音楽性は多くの称賛を受け、レパートリーはバロックから現代音楽、ジャズに至るまでの様々な時代や様式の作品を含んでいる。またトランペット奏者としての活動をしながら、ゲント王立音楽院でジャズボーカルを修了。シュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭ほか、各国の国際的音楽祭に招待されている。2013年、東京のサントリーホールで、準・メルクル指揮東京フィルハーモニー管弦楽団と共に細川俊夫のトランペット協奏曲「霧の中で」の世界初演を行う。モーリス・アンドレ・コンクール、ヨーロッパの若きトランぺッターコンクール、プラハの春国際音楽コンクールで上位入賞など受賞歴は多い。99年よりハンブルク北ドイツ放送交響楽団首席奏者を務める(147月まで在籍)2008年よりハノーファー音楽大学教授。2015年、「NHKクラシック倶楽部」に登場。20181月、ブラスアンサンブル・ゼロとの共演CD「三文オペラ」が日本アコースティックレコーズからリリース。(423文字)


HP: http://jeroenberwaerts.com








©Kousaku Nakagawa

 


神戸市室内管弦楽団 Kobe City Chamber Orchestra


 1981年、神戸市によって設立された神戸市室内管弦楽団は、実力派の弦楽器奏者たちによって組織され、神戸、大阪、東京、札幌などを中心に、質の高いアンサンブル活動を30数年に亘って展開している。弦楽合奏を主体としながらも、管楽器群を加えた室内管弦楽団としての活動も活発で、バロックから近現代までの幅広い演奏レパートリーのほか、埋もれた興味深い作品も意欲的に取り上げてきた。また、定期演奏会以外にもクラシック音楽普及のための様々な公演活動を精力的に行っている。

 1998年、巨匠ゲルハルト・ボッセを音楽監督に迎えてからの14年間で、演奏能力並びに芸術的水準は飛躍的な発展を遂げ、日本を代表する室内合奏団へと成長した。毎年のシーズン・プログラムは充実した内容の魅力あふれる選曲で各方面からの注目を集め、説得力ある演奏は高い評価を受けている。

 内外の第一線で活躍するソリストたちとの共演も多く、20113月の定期演奏会でのボッセ指揮によるJ.S.バッハ「ブランデンブルク協奏曲全6曲」の名演はCDとしてリリースされている。

 また、20119月にはドイツのヴェストファーレンクラシックスからの招聘を受けてドイツ公演を行い、大成功を収めている。

 2013年度からは、日本のアンサンブル界を牽引する岡山潔が音楽監督に就任し、ボッセ前音楽監督の高い理念を引き継ぎ、20184月より楽団名を「神戸市室内管弦楽団」とし、新たな活動を展開している。



 

入場料

全席指定 一般 4,000円 U25(25歳以下) 1,000円 
 

チケットのお求めは…

神戸文化ホール プレイガイド       TEL 078-351-3349

ローソンチケット (Lコード:55702)   TEL 0570-084-005

チケットぴあ (Pコード:103-098)   TEL 0570-02-9999

CNプレイガイド           TEL 0570-08-9999

イープラス                http://eplus.jp

神戸国際会館プレイガイド       TEL 078-230-3300

 

お問い合わせ

神戸文化ホール プレイガイド TEL.078-351-3349
 

~演奏会に寄せて~

 バス歌手だった父が出演するオペラを観に初めて劇場へ連れて行かれた11歳のストラヴィンスキーは狂喜した。音楽の為だけでなく、ロビーでチャイコフスキーを見かけたからであり、それは彼が急死する二週間前であったことを後年自伝に書いている。当時ロシアでチャイコフスキーは神格化された寵児であった。

 音楽の後進国ロシアにおいて、チャイコフスキーは初めてアカデミックな音楽教育を受け、西欧で評価された音楽家であった。役人から転身した彼の短かい音楽人生で、ほぼ全ジャンルの音楽を書いただけではなく、評論活動に加えて指揮活動も行い国内外で活躍した。

 彼の次世代同胞への影響は多大で、1890年、《スペードの女王》がペテルブルクで初演された時、帝都中から駆け付けた芸術ファンの中に、18歳のディアギレフや20歳のブノワの姿もあった。このオペラによって、彼らは帝都ペテルブルクの歴史を再認識し、このことが後の世紀末芸術運動に大きな影響をもたらしたという。

 チャイコフスキーと同じく、ストラヴィンスキーもバレエに対する情熱を生涯持ち続けた。ペテルブルクの前衛芸術グループ《芸術世界》では、後にバレエ・リュスを率いてパリへ行くことになるディアギレフ、画家で舞台美術家のブノワらが活発な芸術活動を繰り広げていたが、1909年、ストラヴィンスキーの《花火》初演は聴いていたディアギレフに強い印象を残し、後の《火の鳥》《春の祭典》での大成功につながった。

 1946年にパウル・ザッハーの委嘱により書かれた《弦楽の為の協奏曲》は、《春の祭典》と同じ作曲者の曲とは思えないほど書法を変えた、新古典主義的な中期の特徴を備えている。

 ふたりの先達からも大いに影響を受けて才能を開花させていったショスタコーヴィッチは、19歳にして既に第一交響曲で成功を収めていたが、26歳で初めてピアノ協奏曲を書いた。当初トランペット協奏曲にするつもりが、ピアノも取り入れたらピアノの方が前面に出た珍しい編成の協奏曲が出来上がり、初演で自ら独奏を務めた。斬新で若々しいこの協奏曲は彼自身の演奏レパートリーとして度々ステージに登場し、これが始まると決まって聴衆は沸いたという。

  モーツアルトとイタリア音楽が大好きだったチャイコフスキーの《弦楽セレナーデ》第一楽章は、彼自身の言葉によれば「モーツァルトへの貢ぎ物」「モーツァルト様式の意図的模倣」であった。チャイコフスキーの魅力に満ちたこの傑作セレナーデは、ロシアが世界へ送り出した最初の国際的音楽家の、今日もなお、世界中で愛聴されるスタンダード・ナンバーとしての地位を守り続けている。

 彼の好きだったイタリア音楽から、イタリア盛期バロックのトレッリのトランペット協奏曲が、金色の輝きを添える。


ミュージック・アドヴァイザー:菅野ボッセ美智子

 
 

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