【主催公演】小野寺修二(演出)・山口茜(上演台本)からコメント到着!『流々転々 KOBE 1942-1946』(2026年2月14日-15日)
神戸文化ホール開館50周年記念事業 Creating in Kobe 神戸で創る「人間讃歌」
『流々転々 KOBE 1942-1946』
あなたとなら、本当の私に出会えるかもと、思った
神戸文化ホール(神戸市中央区、指定管理者:公益財団法人神戸市民文化振興財団)では、2026年2月14日(土)、15日(日)に、
開館50周年を記念したプロデュース公演として、『流々転々(るるてんてん) KOBE 1942-1946』を開催いたします。
神戸・トアロードの国際ホテルを舞台にした俳人・西東三鬼の原作に、新たな視点と身体の言葉を重ねた物語。
鈴木浩介が演じる東京から逃れてきた「私」と、美弥るりか演じる女「たち」が交錯する、坂道の記憶――。
【公演日】
2026年2月
14日(土)17:00★
15日(日)11:30/15:30★
★・・・アフタートークあり
【会場】神戸文化ホール 中ホール
▼公演WEBサイトはこちら
https://www.kobe-bunka.jp/hall/schedule/event/theater/15434/
演出:小野寺修二(カンパニーデラシネラ)

撮影:鈴木穣蔵
ある日神戸文化ホールから、開館50周年記念プロデュース公演として、『神戸・続神戸』という小説の舞台化を考えている、というお話を伺いました。神戸にはこれまで何度か滞在し馴染み深かったのですが、神戸の街、戦時中を舞台にした作品ということで、また普段自分は身体表現を軸にしていて、物語の筋にはあまり重きを置いてこなかったこともあり、是非!と手を挙げながら、切り口についてはまだ心許なく本を手にしました。
『神戸・続神戸』には「頑強に事実だけを羅列」とありますが、書かれているエピソードは寓話と感じられることばかり。しかし調べると、そういった破天荒が当時の神戸にあったよう。闊達な空気、もたれかかり過ぎない、俯瞰し過ぎない、人と人との関係性がそこにありました。そしてそれはきっと今に繋がっている。
最初この企画を伺ったのは今となってはもう随分前で、時間がまだあるのを良いことに、折々神戸に寄らせていただき、関西ゆかりの舞台の人と会う機会を何度もいただいたり、テキストの山口茜さんが行う神戸の街のフィールドワークに同行させていただいたり、直接形にならない何かを積み重ねてきました。たくさんの場所、人と出会って脈絡のなかったそれらですが、少しずつ像が結びつつあります。
『神戸・続神戸』著者の西東三鬼自体、神戸の人ではなく、岡山で生まれ東京に出て、紆余曲折があり「脱走」して神戸に来たのですが、主人公もそのように登場します。今回も違う土地からの目線だからこその客観性で身体化し、多くの初協働となる関西ゆかりの出演者の方たちと、「神戸」を立ち上げたいと思います。
上演台本:山口茜(サファリ・P/トリコ・A)
人は疲れている時、あるいは誰かを待つ時、とりあえずその辺の座れそうな場所に腰掛けることがある。
しばらくして疲れが和らいだら、あるいは誰かが来たら、立ち上がって目的の場所へと歩いていく。
そこに居座ることは滅多にないだろう。
今回の物語の舞台であるホテルはまさに「その辺の座れそうな場所」だった。
この物語の登場人物たちは皆、とりあえずそこに座って、戦時下を生き延びようとした。
しかし面白いのは、彼女ら、彼らもまた、「とりあえずその辺の座れそうな場所」であろうとしたことだ。
みながみな、揃いも揃って自ら他者にとっての一時的な避難場所たらんとしたことに、
私は人間の本来のあり方と神戸という土地の力を見る。
戦争は、その色を濃くしただけのように感じるのである。